〜宿題を通して〜


〝第二のお家〟として帰ってくる学童っ子たちは、「ただいま」と帰ってきたあと、宿題に向かいます。自宅と違い、一人ひとりの机などはありませんが、テーブルの前に座ってやっています。一人ではないのでワイワイにぎやかでもありますし、いろんな子たちの姿があります。「今日は算数プリント一枚! 簡単!」「オレ、放課のとき学校でやった!」「う〜4つもある…」。「あーオレ、六時前に絶対やるから…今コマしてくる」「今日パパお迎えだから早くやっとかんと」など、取り掛かりの姿は様々です。

いざやり始めると、みんな頑張って仕上げていきます。一年のT君「計算カードやるね」。「9+2=9+1で10、10+1で11…」と真剣な顔つきで言い、「わーすごい、やり方も言いながらやるんだ、すごいネ」とほめてあげると、一段と声も大きくなる。2年のA君は「6の段の掛け算聞いてよ、いくよ」と、とても大きな声でドーと一気に言ってしまい、思わずこちらは笑えてしまったり…。M君はドリルを終え「よーし終わり! 今日もコマやったるぞー」と張り切ってコマ遊びへ。一人ひとりの〝らしさ〟が垣間見えます。

時間のかかってしまう子もあります。Y君は少し自信のもてないところがあり、指導員に「ねー宿題一緒にやろー」「ここに座ってやろー」「きてー」とよく言い、その都度、一緒にやってきました。

「ねーどういう意味?」「これ、あってる? 確かめて」と確認しつつ…。お迎えも遅めになるし、宿題も3つ4つと多めの日もあり、「学童で宿題はやらないと…」という思いは強くあるのです。それは〝いやいや〟とか〝親がいうから〟というものではなく、純粋に〝やることはやっておかないと〟というような…。

ただスラスラとはやれず、「わかんな〜い」と言ってしまったり、「虫取り行けなくなる」と苛立ったりする時もあります。だから時には「よし、この下にあと 4個書いていこっか」などと手伝ってしまったり、「よし、3つやったから、あと1つは夕方やろうか」などと助け舟を出す日もあります。

周りの子たちは「それ、すぐやれるがー」、「まだやってるの」などと言うこともありますが、指導員が「だけどYはな、しっかりやろうと、1時間でもやり続けているんだよ。すごいよー」と言うと、「えーすごい」と見直してくれます。1年以上積み重ねてきて「ねー一緒に…」はまだまだありますが、自分で自信を持ってやっていることも増え、「できた!」「紙ヒコーキとばしてくるー」と満足げないい顔をして飛び出していくY君です。

(平針学童保育クラブ/斉藤仁志)

2007.11.19発行 KID'S倶楽部 Vol.162