ヒューマンスクランブル 第297回


中平2丁目 野瀬さつきさん

剣道で“親育て”

●中平2丁目 野瀬さつきさん

「子どもがやっているのを見て楽しそうだなって」と子どもの“習い事”に手を染める人が多くなった。子どもと同じ“趣味”を持つことになるから、とても素晴らしいことだ。
中平2丁目の野瀬さつきさん(42)が剣道を始めたきっかけも「親として、ジュニアスポーツクラブで剣道を始めた子どものお手伝いに行ったこと」と言う。
「子どもがけがなどした時のお手伝いに行っていたんですが(しょっちゅうけがする訳もなく)、手持ちぶたさで・・・。そんな時、先生が『見ているだけではつまらんでしょう』とばかり、基本の擦り足や素振りを教えてくれたんです」
もちろん、剣道の経験などなかった。だから、つらさや厳しさなど分かるはずもない。「子どもの苦労も分からずただ、しかる親でしたが、(自分でやってみて)大変さがよく分かるようになりました」と言う。
大変なら、基礎の段階でやめればいいのだが、先生の指導が良かった。「もう褒め上手で。褒められると、やっぱりうれしいし。もっと上手になろうと」
それでもつらいことは多い。何よりも子どもたちに比べ、年齢のハンデがある。子どもたちにとって「何でもないこと」が40歳の身にはつらい。そう、防具一つとってみても、その重さに体が音を上げる。
「立場が逆転しちゃって。つらけりゃ休んだら、と子どもが言うんです。でも、私も負けず嫌いな性分ですし」と笑顔。「それに一回でも休むと、次が一層しんどくなりますし」
始めて3年。今年の7月には、初段になった。「剣道の面白さの一つは、性格が出ること。自分の性格もはっきり見えました」と話し「試合で一本取れればうれしいですしね」とにっこり。
「どうせ一時的なもの」と思っていたご主人も、今は“応援団”。「段位を取るには、一年間の間がいるため、二段へのチャレンジは来年。今の目標は、二段取得」と目標もはっきりしている。でも、剣道を始めて一番の収穫は「子育てならぬ“親育て”をしてもらったこと」と笑った。

2007.11.13発行 紙ひこうき Vol.317