〜あんたはすごい〜


今日は保育士さんのこと。

運動会のかけっこ。年長組になれば勝ち負けも判るから真剣。ドンのスタートで駆け出す。その時、カーブで足が触れたのか転倒。

「あっ」と悲鳴。さっと駆け寄る保育士、土を払って笑いながら背中を押す。子どもは転んだことを忘れたように走っていく。目には涙があるけど。

数組後、またカーブで転んだ。今度はシャツを引っ張られたらしい。転んだまま、起きてこない。保育士は…。えっ、黙って見ている! そして「○○ちゃん、ガンバレー」と拍手し始めた。すると子ども達も一斉に「○○ちゃん、ガンバレー」と。やがて転んだ子は自分で起き上がった。そして照れたように走り出す。また拍手が起こる。

対応の違いを聞くと、「まぁ」というだけ。トッサの判断だろうが的確だ。

保育士は時にはお母さん、時には悪魔。百面相で子どもと話す。飛び跳ね、歌い、陽気に話す。それだけじゃない。子どものことで悩む、親以上に。子どものことで喜ぶ、兄弟姉妹以上に。なんだろうね、その原動力は。ともかく、あんた達はすごいよ。

帰り際、女の子が言い寄ってきた、「私ね、大きくなったら先生になるの」。

(哲地蔵)

2007.10.16発行 KID'S倶楽部 Vol.161