〜遊びの中でたくましく〜


秋になり、子どもたちも気持ちよく体を動かせる時期です。散歩やナイフで竹箸作り等、様々なことをしていますが、子どもたちは一日どこかの時間に、ある程度の人数で〝集団遊び〟をして、存分に体と心を躍動させる時間がないとスッキリしないようです。当然、トラブルやぶつかり合いもありますが、それも含めて、しっかり楽しめた後は、どの子も満足げな表情になり笑顔が多くなります。

最近は〝Wへんけい〟という遊びを楽しんでいます。これは2チームに分かれ相手の陣地の〝宝〟の場所を先に踏んだ方が勝ちというもので、互いの攻守のせめぎ合いがある活発な遊びです。チームとして勝てば嬉しいし、そうでなくとも、相手を倒した、よく頑張った、いい作戦で勝てた等の喜びや、単純に触れ合いとか取っ組み合いの楽しみがあります。

ある日、3年のK君が4年のS君に肘から体当たりし、S君は尻餅をついて倒れてしまいました。するとS君は「K、調子にのるなよ!」と怒りの声。周りの高学年が「K、今のはやめとけ。ちょっと危ないって、肘からの体当たりは」と言うとK君もこれまでのような意地を張ることもなく「そうか…」。S君も以前なら怒り、その場を去ったりしたでしょうが、すぐに冷静になって立ち上がりました。この遊びが大好きで、楽しさもよく知っているからこそK君のプレーに一言いわずにはおれなかったのでしょう。その後は再びにぎやかに遊んでいました。

別の日のこと、2年のT君が3年のY君に押し倒されました。遊び大好きだけど、結構悔しがりのT君は目に涙をためながら「何でそんなに強く押すんだー」と抗議。

Y君は「え〜そんなー強くなんて押しとらんよー」と少し戸惑い気味でしたが、T君は引かず。そして悔しさのあまりY君の胸をドーン。Y君は顔色を変えてT君に迫り、こぶしをにぎりつつもグーとこらえた表情で「何で悔しいからって胸突いてくるんだー」。しかしY君は外へ出てやり場のない思いをこらえていました。以前のY君ならカーッとなってやり返していたでしょうが、彼もまた〝集団遊び〟が大好きになってきた子の一人。(そんなことですぐ泣いちゃあ楽しくやれんぞ)といった思いや、(T君にやり返したりしたら遊びがだいなしになる)といった思いがY君の言動から感じられました。T君も気を落ち着けると「やる…」。「ごめん」とY君に言いつつ再び入って遊びました。

こんな場面を見るたびに、子どもたちは仲間のサポートを受けながら、遊びの楽しさを実感したり自信をつけたりして育ち合っていくんだなぁと改めて感じます。

最後に、存分に〝Wへんけい〟を楽しんだ後に四年の女子が書いた日記を紹介します。

A君(6年)とたたかった。

A君は強かった。でも私も負けなかった(簡単には)。

さいごは負けた(倒されて)。

地面にねころがった時、

「(次は)たおす」といった。

ウハハハハハ★くーくっくっく

(平針学童保育クラブ/斉藤仁志)

2007.10.16発行 KID'S倶楽部 Vol.161