子どもたちの力


学童保育では毎年、2泊3日のキャンプを行います。その2日目の夜のキャンプファイヤー。フィナーレは4〜6年生のトーチと6年生の点火による火文字です。棒の先に火をつけ、曲にあわせて色々な技をするトーチは、しだいに“火の舞”になり、みんなの息が合えば合うほどきれいなものとなります。その姿は下級生にとってあこがれ。今の4年生の女の子たちは3年生時のキャンプ後、よくトーチ棒を手にしては少しずつ技をマスターしていました。

一方、男子や今年初参加となった子たちは苦戦のスタート。「よし、トーチ棒完成」「簡単な技はすぐできる!」とはりきったものの、A君、B君、C君ともに「あれ?“かつぎ”、左はやれるけど右が…」とスムーズにいきません。そうなると、できることはやっても、苦手なところはあまりチャレンジせず…。他の子や指導員がポイントやコツを伝えて一緒にやってみるも、そう簡単にはいかない日々。「練習せんとやれるようにならんよ」といわれても「だって…マメ痛いし…やれんし」。それでも「大丈夫、やった分だけうまくなっていくよ!」と一人ひとりマンツーマンで練習していきました。

そのうちA君が「あっこんな感じ?」と自分なりにちょっとコツがつかめて、自主的に練習するように。その姿を見てふるいたったB君。指導員に「ここでがんばらんと。この技がやれたら他のもやっていけるから」といわれて、少し涙を流しながらもマスターしようと懸命に努力しだしました。C君も自問自答しつつ一緒に。そんななかで、「やれるようになりたい」という思いが伝わってくるようになりました。「いい形になってきたよ!」とほめると、ニンマリしてガゼンはりきり、他の子たちも「みんながそろってこそ、きれいなトーチになる」とよろこびあったり応援したり。

こうなればもう子どもたちのパワーは全開。“苦労の証”指のマメをテーピングでカバーし、自分たちで決めたメドレーにあわせてひたすら練習していきます。「かっこよく、上手に、みんなとやりたい」という思いとともに、「がんばってきたぞ」という自信が表情にあらわれています。

初めて火をつけてやるリハーサルでは「火ついたらどうする?」「こわそー」などとドキドキしつつ、いざやりだすと、B君など途中から笑顔になってとてもうれしそう。「あ〜もっとやりたい〜」。あの涙はどこへやら。

こうして6年生3人を先頭にした11人の火の舞いは、キャンプ2日目の夜、みんなの誇らしげな顔とともにすてきな輝きを見せてくれました。あらためて子どもたちの力はすごいなーと感じた夜となりました。 (平針学童保育クラブ/斉藤仁志)

2007.8.20発行 KID'S倶楽部 Vol.159