少しずつ― 


 学童保育では、少人数でするものから多人数でするものまで、いろんな遊びをして楽しんでいます。遊びを通して頭も体も心も存分に動かして、その遊びそのものの楽しさや仲間と遊ぶ楽しさを、心に刻んでほしいなぁと願っています。
 しかしどの子も興味を示し「やってみたい」「面白そう?」「入れて―」と、やれるわけではありません。心の内にあったとしても、「ルールよくわかんない」「こわそう・・・」などとためらったり、敬遠してしまう子も多くいます。
 ある日の夕方の事―訳あってこの日で学童をやめてしまう子があり、その子の好きな遊びをしようと話し合った結果、みんなでSケンで遊ぼう!という事になりました。コートを描き、チーム分け、そしてやり始めようとしている時、その輪から少し距離をおいてうつむき加減に集まっている子がいました。一、二年の女の子たちでした。「あれ一緒にやらないの?」と聞いても「・・・・」。他の子も「どうしたん?皆で相談して決めたがー。やらんの?」「や~ろ」と誘いもしますが「だって・・・」。時間も少なくなるので他の子たちはSケンを始めました。
 入れないでいる女の子達は前々から、大勢の中で遊ぶことは苦手としていました。それは悪い事ではないし、その子たちの好きな遊びを中心に遊びの楽しさを知ったり、他の子との接点を広げたりしてきました。また苦手な遊びも指導員と共にやることで伝えてもらいました。このSケンだって同じような力の子たちと少人数で”ミニSケン”を時々やって、やり方などわかってきたところだったのです。
 他の子から「何でやれんの?」「恐いの?」と聞かれ、RちゃんとAちゃんは「ちょっとルールがわからんとこあるし・・・」と思いを伝える事ができました。そして「ミニSケンならできる」と言うと、「それでもいいがー」ということになって、三人はホッとしたような顔つきに。それからはせっせと準備にかあkり。指導員対三人で始めると懸命にケンケンしたり大声を出したり。そのうち、ミニSケンの仲間だった一年三人も加わることになり、子ども同士のチームで大張り切りに。時間が来ても「もっとしたい」と言うほどにも・・・。
 自分の不安をしっかり受け止めてくれる、力を貸してくれるような仲間づくりの課題を感じつつも、遊びの楽しさや自信を少しずつ大きくしていく子どもたちの力を信頼して関わっていけたらと思っています。
                                                    

KID'S 倶楽部 H19 Vol.153