忘れないで僕の誕生日 


 忘れないで僕の誕生日―
 僕の幼稚園では、毎月”誕生日会”がある。その日はその月に生まれた人のパパやママも来てくれて先生の劇や歌もあって、名前を呼ばれた人は舞台にのぼって「四歳になりました」と大きな声で言うんだ。するとみんながパチパチと手をたたいてくれて、本当に大きくなったような気がする日。年に一度だけだけど。
 もうひとつ、幼稚園では”誕生会”があるんだ。それは本当に生まれた日。その朝、お部屋で先生が「今日は○○君の誕生日!」といってくれる日。皆が「わぁ」といって祝ってくれる日。本当の誕生日はこの日なんだ。
 昨日は僕の誕生日だった。
 でも、先生が忘れていた。
 何度も先生の顔を見るけど気づいてくれない。
 じっとみていたら目があってしまったのであわてて下を向いた。そうしたら先生が近づいてきた。ドキドキ。するとおでこに手を当てて、「顔あかいよ」だって―。
 だーれも気づいてくれない僕の誕生日。とうとう泣けてきた、でも辛抱した。
 おうちに帰ったら、ママが聞いてくれた。
 「みんなが祝ってくれた?」
 「うん」といったけど、今度は本当に涙がでた。
 次の日、先生が「昨日は○○君の誕生日でした」と大きな声で言ってくれた。僕はビックリした。
 「ごめんね。先生、忘れてた」
 「・・・うん」
 本当はそのあと「忘れないでね」と言いたかったけど辛抱した僕の四歳の誕生日。
                                        ◇
 大人でも「忘れられる」は辛いですね。まして、年に一度、クラスのみんなが注目してくれる日はとても大事な日です。
 誕生日が日曜やお正月休みだったときは特に注意します。声をかけられたときのうれしさは子どもも一緒ですね。

KID'S 倶楽部 H19 Vol.152