子ども紙芝居


「あー、今日は何読むのォ?」
指導員が紙芝居を持って部屋に入ってくると、子どもたちのこんな声が聞こえてきます。

子どもたちは、紙芝居や本を読んでもらうのが大好きです。
親をはじめ身近な大人に読んでもらっている時の〝安心感〟のようなものや、時々読み手とちょっとした言葉のやりとりをしながら〝お話の世界〟に入り込んでいく感じなどが心地良いのでしょうか。

学童保育では、おやつをみんなで食べる時間等に読んだりします。
指導員は、おやつ前ということもあって「靴をしまってなかったり、手洗いをしてなかったりしてたら今のうちにやっておいでよ」等と呼びかけ、始めるタイミングを待ちます。そして始まると徐々にシーンとなっていき、時にコメントを入れたり、ニンマリしたり…。たまに話を変えると「ラ~ちがうー」と言ったり…。そんなこんなで終えるとパチパチバチと拍手。

そんな様子にこの頃ちょっとした変化が。
「読みたーい」と読み手になりたがる子どもたちが増えてきたのです。今までも大きい子たちと一緒に役を決めて読み、お兄ちゃん、お姉ちゃんらしさを見せていく機会ともしてきましたが、この頃は紙芝居をやる気配を感じると「読むーっ」「私たち読んでいい?」と張り切ってくるのです。

五人いる三年女子。今、その中心となっている子たちです。
「ねェ、おやつ前でいい? おやつの時がいい?」
「じゃあ選んで練習して、おやつの時に読んで」
「わかったー。ねェちょっと練習してからやってってー」

別室に行って役割分担をしたり練習をしたりしてから「呼んでみるー」とみんなの前に。
他の子たちもいつものように前に注目してくれます。少したどたどしさはあっても、互いに「次○○ちゃん」と小声や目で合図しつつ〝なるべく大きな声で〟読んでくれます。聞く方も時に励ましつつ静かに聞いてくれるので、また頑張れるようです。終えた後の拍手。みんなの前で読んだ満足感とあわせ、ちょっと照れたような嬉しそうな顔です。

ある日には四、五年生の男子。「たまにはオレたち男子にもやらせて。部活とかでめったにやれんから」と。紙芝居大好きのA君はそれはそれはいい声で役になり切り、表現力豊かなB君も女性役を裏声を使って女性らしく演じ、聞いてる子や本人たちからも思わず笑いが出ます。けどうまい!!どちらかというと口下手な方のC君は〝いろんなことにチャレンジしてみよう〟という成長が感じられる奮闘ぶりです。D君は始める時、指導員のように「今のうちに靴しまったり、手洗いしてきてねー」とお兄さんらしさをみせ、こちらもびっくりしたり嬉しかったり。

紙芝居を通して、子どもたち一人一人の持ち味や成長ぶりを実感。と同時に、子どもたちのいろんな力、良さを引出していける生活内容を大切にしなければと改めて感じました。そして紙芝居とはいえ自分の言葉で表現したり伝えたりしていくことが〝小さな自信〟につながってほしいと願っています。

KID'S倶楽部 H.18.7号