ファッション


最近の小学校をみると、昔の小学生とは比べ物にならないくらい様々な人種を確認する事ができる。
もちろん外国から来た子どもも増えているという事もあるが、純粋な日本人の子どもだけを集めても同じ人種とは思えない、と感じる事がよくある。特に女の子だ。

将来は何になりたいですか? という質問に、「お花屋さん」「ケーキやさん」「お嫁さん」と言った昔ながらの答えに交じって「アゲハ嬢」などと胸を張って子どもも交じってきている。「では、アゲハ嬢とは何ですか?」と聞くと「わかりやすく言えば、キャバ嬢みたいな感じだよ」と教えてくれる。そんな子の部屋には、マンガ雑誌の中に交じってドハデなファッション雑誌が並んでいる。

6年生のA子ちゃんは、どちらかと言えば「昔ながらの小学生」に分類されるだろう女の子だ。つまりは、普通の小学生。
ある休日、家族3人そろってテレビを見ながら夕食を食べていた。テレビには「かわいい」と評判の金髪ギャルのアイドル。それを見ていたA子ちゃんは「アゲハ嬢になりたい」と言いだした。お父さんもお母さんもビックリだ。

「ア…アゲハ嬢って何だ…?」とお父さんは聞いてみた。「うーん、わかりやすく言えばキャバ嬢みたいな感じ」とA子ちゃんは答える。
「キャバ嬢って何の事かわかってるの?」とお母さんが聞くと、「可愛い人だよ」とA子ちゃん。ファッションの事だけを言っている事だけがわかり、ひとまず安心したお父さん。

とはいえ、子どものファッションにどう口をはさんだら良いものなのかサッパリわからない。お父さんもお母さんも、A子ちゃんと一緒に、テレビに出てくるギャルのタレントを「この子はカワイイね」などと言って団らんしていた手前、あんまりヘタな事は言えない。最近のA子ちゃんは手ごわいのだ。

結局、頭ごなしに「大人になってから!」と言う事しかできなかったお父さん。お母さんと二人になった時、「すぐに大人になっちゃうよ」とからかわれて頭をかかえるハメになった。

KID'S 倶楽部 Vol.189 小学百景