上海の幼児英語教育


上海万博が開かれ、大変な人で賑わっている。経済成長の著しい中国の姿を現し、世界経済をけん引する勢いである。かつての大阪万博とそれ以後の日本の発展を引き合いに同等の評価をする向きもある。

数年前に上海の幼稚園を見学したことがある。街はすでに万博の準備が始まり、表通りの古い家は取り壊されて整備されていたが、裏道に入ると旧態以前とした家屋で、行政と住民とのトラブルも発生していた。

いよいよ、幼稚園に到着した。真っ先に驚いたのは、園児が英語で挨拶し話しかけてきたこと。確かに、英語である。クラスを巡ると、教室の入り口に一週間のカリキュラムが掲示してあって、そこに英会話が数行記載されていた。どうやら園児以外の保護者向けのアナウンスで、親子一体での指導効果を計っているようで、年長児クラスの内容は日本の中学生も二年生程度はあった。園児の歌や踊りといった歓迎会も日本の水準以上なことと、楽器・絵画の指導も充実し、中国らしい体操のクラスも拝見した。

幼児の英才教育はいつも話題になる。何が成長なのかと論議される。その時も担当者に日本側からその質問が発せられたが、「外国を相手にしていく」との答えがあった。国の目標だったのだろう。

帰国して、私の園もカナダ人の保護者に依頼して会話教室を始めた。親との連携はなく、親しむということを中心にしているから、上海ほど進歩したとは思えない。さてどうするか。教育者の信念が試されているように最近は思っている。

(H22.05.19記)

KID'S 倶楽部 Vol.189 幼年図鑑