ちょっと聞いてちょう電話


年老いてから連れ合いに先立たれるのは辛いものだ。若くても辛いが「まだまだ先は長いのだから」と考えることも出来る。

これは、あるご住職から聞いたお話。 
あるおばあさんは、おじいさんをなくしてから急に情緒が不安定になってしまった。「子どもさんや周りの人に支えられて一旦は立ち直ったんですが、またすぐに落ち込まれて・・・」とご住職。そこのお寺は本堂が開放されているので、お年寄りが菓子を持ち寄ったりして話に花を咲かせているのだが、そのおばあさんは人に誘って頂いてみんなと一緒に、というのが苦手なタイプ。そして娘さんが気を遣って外出などに誘ってくれるのも心の負担になっているらしい。

そこでご住職は考えて「何かあったら気軽に電話下さい」と声をかけたのだそうだ。すると掛かるわ、掛かるわ。住職とのホットラインが結ばれて以来、おばあさんはみるみる元気になって行かれたそうです。

世の中には自殺者を思いとどまらせる「いのちの電話」や育児の悩みを打ち明ける「心の電話」などがある。同じように高齢者向けの「ちょっと聞いてちょう電話」の開設も要るんじゃないかしら?

2009.5.25発行 み・まも~る6月号 Vol.25