たっぷり甘えて!


ちょっとした段取りの不備で、新一年生の登録数は20名を超えていますが、四月一日からやってきたのは8名です。あんなにやんちゃだった新二年生の子らが、新一年生の面倒をしっかり見てくれ、しっかり「二年生ぶり」を発揮してくれるのに目を細めています。

さて新一年生ですが、土曜・日曜・始業式と三日間お母さんのそばにいたためか、登校日にお母さんが「じゃあ行ってきます」と言っても、お母さんの手を離そうとしません。そのうち「行っちゃイヤだ~」と激泣きし始めるのです。お母さんは時間的に余裕を持って来られたので、しばらく抱っこしてみえましたが、いよいよタイムアップなので最後にはAPがもぎ取る形になり、無理やり「いってらっしゃい」と言わせてしまいました。

お母さんは「一人っ子で甘やかして育てたものですから…」と仰るのですが、APは「その方がいいんですよ」とお母さんを送り出しました。

低学年のうちしか甘えられません。ですから甘えられるうちは甘える子を受け止めてあげた方がいいと思います。昔、「低学年のうちしか百点はとれないから」という主義のお母さんがいました。一年生でもそうは百点ばかりとれませんから、そのうちに子どもは百点以外のテストを隠すようになったのです。

テストは間違いを直して提出しなければなりませんが、隠していればそれも出来ないので、APがちょっと口を出しました。
「分からずに間違えたのか、ちょっとしたミスで間違えたのかみてあげなきゃあ」
と言うと、お母さんは
「じゃあ八十点のテストでもいいのですか」と仰るので
「いいですとも。でないと隠し事をする子になりますよ」
「じゃあ八十点しかとれなかったときの私の感情はどうなるんですか」
「それはぐっとこらえて下さい」。
こんな問答の挙げ句にそのお母さんは理解してくれたのです。

もう小学生というお気持ちはよく分かりますが、どんなテストでもまず怒らないように、そして誉めてあげ、甘えてきたら存分に抱きしめてお話を聞いてあげて下さい。小学一年生はまだまだ甘え盛りです。

KID'S倶楽部 Vol.178:小学百景