ああ、部活!


今の中学校は部活の数が極端に少ないので、どの部も部員数が多い。A男の所属するサッカー部も同様で、一年の頃は先輩の試合の応援にも「入る場所がない」ということで行くことが出来なかった。

A男も二年。しかしレギュラーではないので試合には出られない。今度のスタジアムは比較的広いので応援は「自由参加」ということになっていた。偶然、二年全員が塾だの模試だの家庭内行事だののそれぞれの事情で応援には行かなかったのだが、それが後に大事件になってしまった。

試合が終わるとテスト週間。A男たちはテストが終わるや待ちかねたようにグラウンドに飛び出していった。すると顧問の先生が二年生部員全員に「お前らはもう来るな。部活をやる資格がない」と激怒。みなわけが分からずに取りあえず先生に謝りに行った。「なんで来るなと言われたのか分かるか!」と先生はとりつく島もない。

何回も謝りに行くうちに「自由参加」を欠席したからだということも分かってきて、それぞれは平身低頭して復活させてもらった。

しかしA男は最後まで許しが出なかった。お辞儀の仕方が悪いというのだ。A男はあまりに威圧的な先生の前に出ると身がすくんでしまい体が思うように動かないのだった。人一倍サッカーが好きなA男は悩んで落ち込んでしまった。

見かねた母親は口出しは不本意だが学校に相談に行った。担任の先生は「もうあきらめて他の方に目を向けたらどうですか」とけんもほろろだった。聞けば、部活の先生はボランティアでやって頂いてるので、方針などに文句はつけられないと言うことだった。

部活で学ぶものは大きい。もしペナルティを課すならば、運動場10周走ってこい、でどうしていけないのだろう。なぜすぐに門戸を閉ざしてしまうのだろうと母親は疑問に感じた。部活がなければ子どもは時間をもてあまし、体だって鍛えられないのに。

復部が最後まで認められなかったA男は、地域のサッカーチームに所属した。それしか仕方がなかったのである。

KID'S倶楽部 Vol.178:中坊白書