福朗


もう端午の節句。五月五日のこどもの日が近づくと、一昔前なら大空に沢山の鯉のぼりが泳いでいたものだったが、最近では庭のある家が少なくなったためか、あるいは少子化のためか、めっきり見かけなくなった。昔は男子誕生の親戚には鯉のぼりを初節句のお祝いとして届けた。そして御節句当日には、今度は親戚に柏餅や粽が贈られたのだ。こうした歳時記的な遣り取りを面倒がる人々が増えたらしく柏餅や粽の到来物はなくなった。世の中がこんなに無味乾燥で殺伐としている一因はその辺りにもあるのかも。

2008.4.25発行 み・まも〜る5月号 Vol.12