ふるさとの宝 木遣り音頭


●針名神社天王祭●

七月十六日(祝)。台風四号接近で前日は大雨。しかし当日は台風一過の晴天に恵まれ、針名神社では天王祭神事が無事とりおこなわれた。
このお祭りの見ものは提灯とぼしと木遣り音頭。ともに古い歴史を持つ。
木遣り音頭の発祥は、今から四百年前の一六一〇年(慶長十五年)名古屋城築城時にさかのぼる。
この工事には、平針など名古屋周辺の農民たちが築城資材の運搬などの人夫として駆りだされており、そのときに他国から来た人夫の歌う木遣りを覚えたもの。木遣り音頭は工事の際に調子を合わせたり威勢を高める目的で歌われたものなので、多くはリーダーと作業者との掛け合いの形になっている。労働作業歌の木遣りであるが、新築=慶事であることから、後になって祝言歌としても伝承されるようになったという。
平針に伝承された木遣り音頭は、浄瑠璃芝居のさわりの部分を取り入れた座敷歌も加わって、最盛期には六十曲以上を数えたそうだが、保存会の奮闘にもかかわらず、現存は半分程度。しかし大切な文化財なので名古屋市の無形文化財に指定されている。
現在木遣り節はこの天王祭、名古屋まつり、天白区民祭と年三回のお披露目の機会がある。後継者不足が一番の悩みで、会長の村瀬進さんは「地元に愛着を持って引き継いでくれる人がいればいいのですが」と話す。聞くほどに味のある平針木遣り音頭。ふるさとの宝の伝承に、あなたも力を注いで見ませんか?
練習は毎月第一土曜日、夜八時から十時まで平針西町公民館(平針5-341)で。

村瀬進801-0140 箕浦憲二803-8693

2007.8.14発行 紙ひこうき Vol.314