とんび


高校の家庭科の先生は奈良女子大を出られた方で、「科学するお母さんになれ」を口癖にしておられた。英文法も数式も霞の彼方なのだが、先生から習ったシミ抜きの技術等は日々生活の中で役立てている。

その先生が調理で仰っていたのが「野菜は地面に植えたら芽が出るものを使いなさい」であった。それは一つには新鮮であることなのだが、もう一つは他人の手で加工されていないことを意味していた。出来の悪い生徒だったが、この言葉はしっかり覚えており、野菜に限らず加工品は使わないで生きてきた。ミートホープ社の事件を読むにつけ、仰げば尊しの私である。

2007.7.17発行 KID'S倶楽部 Vol.158