編集後記


映画「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜」を観てきた。
原作者のリリーフランキーは私より一世代下だが、その頃まで、世の中の母親は母親以外の何者でもなかったような気がする(ま、例外もいたでしょうが)。
映画館の観衆の涙は、生き死にの悲しさではなく、その徹底した母親ぶりへの郷愁と憧憬と切ないほどの美しさに対する涙だった。
「母親である前に人間だし女だし」と主張なさる今の新しいお母さんたちは、この映画をご覧になってどのように感じることやら。

2007.5.14発行 紙ひこうき Vol.311