とんび 


 映画「魂萌え」を観た。定年退職した夫に先立たれ、夫の裏切りを知り、子どもたちの身勝手さを思い知った主婦の自己再生の話だ。身近によく似た境遇の女性がいるので、再出発を決意した彼女の気持ちがわかるような気がしてしみじみした。これまで常に誰かの扶養家族であった主人公も知人も、孤独との戦い、社会の荒波、生活の確保などの困難を戸惑いつつも受け入れて独り歩き始めた。誰かの為の人生から自分の為の人生を歩くのだ。まさに魂萌えだ。映画館は熟年夫婦で満員だった。入場の時より帰りのほうがしっかり寄り添っているように見えたのだが、気のせいか。

KID'S 倶楽部 H19 Vol.153