架空請求メール?


Rちゃんは中学1年生。入学当初に与えたケータイは、いつのまにかゴテゴテのキラキラなデコレーションで飾り付けられていた。ある日の夕方、お母さんが仕事から帰ってくると、Rちゃんがお母さんにモゾモゾと近づいてきた。

「お母さん、変なメールが来ちゃったんだけど、どうしたらいいのかわかんない」と言ってきた。「友達から?」とお母さんが聞くと「ううん、違う。どっかの会社から。料金が未払いだから早く支払うようにって」とRちゃんは答えた。お母さんは「ええっ!?」とビックリしてRちゃんのケータイを見た。内容は『サービス料金6万円が未払いで、連絡が無い場合は合法的な処置をとる』というものだった。「合法的な処置」と書いて「裁判所に訴えるぞ」と読ませる、よくある「架空請求メール」というやつだ。

さすがにお母さんも一目みてわかったので、「こんなメール、ムシしときなさい」と言った。「中学生にまで、こんなメールを送るなんて…」と、お母さんはブツブツ言いながらご飯の準備を始めたが、Rちゃんは「本当にムシしちゃってて大丈夫なのかなぁ」と、妙に心配した様子。お母さんは『こんな心配症な子だったかしら』と、少し気になっていた。

その月の月末。Rちゃんの家に、毎月の携帯電話の請求書が届いた。Rちゃんのケータイの電話料金がいつもの3倍程度になっていた。お母さんはビックリしてRちゃんに話を聞いた。「ちょっと! あんた、ケータイ使って何やってるのっ!」と言うと「たぶん、ケータイでゲームやった時のだと思う。ゲーム内で…何かアイテムを買っちゃった様な気がする」とRちゃんが小さな声でボソボソ答える。「気がするって、どういう事なの!?」と言いながら、お母さんはこの時、ようやく先日の架空請求メールが届いた時に、Rちゃんが妙に心配していた理由がわかった。Rちゃんには思い当たる事があったのだ。

架空請求はゲームの料金とは関係ないはずなのだけれど…巧妙な詐欺の手口にイラだちながら、Rちゃんのケータイ電話をとりあげてしまおうかと悩むお母さんであった。

KID'S 倶楽部 Vol.196 中坊白書