夢はちゃんこ屋 三保ヶ関部屋・増竜さん


三保ヶ関部屋 増竜さん第281回 三保ヶ関部屋 増竜さん
「夢はちゃんこ屋」

「定番」という言葉がある。
元来は衣料品に使っていたが、今では「決まり物」といった意味合いでいろいろなところで使う。その一つが「定番メニュー」。小紙の七月号といえば三保ヶ関部屋。かつて、いろんな力士を紹介してきた。だから、本コーナーで力士の写真を見つけた読者は、“名古屋の夏”の到来を感じてくれるだろう。

前口上が長くなってしまったが、今回紹介するのは同部屋の「ちゃんこ長」増竜さん(30)。もちろん“部屋お抱えの料理長”ではなく、現役のおすもうさん。番付は三段目東八十七枚目だ。

「うちの母と、部屋のお上さんが幼馴染で、中三の時体験入門してそのまま・・・」
というのが、この世界に入ったきっかけ。
「相撲に興味があったし、人と変わったことがやりたかった」というのが理由の一つだ。

ちゃんこ長になった契機は、けが。
「二十四歳の時、腰を痛めて。けいこも満足にできない時、親方から言われました。」
実は増竜さん「小さな頃から料理を作っていた」と言うから、料理暦は相撲より長い?らしい。だから親方の言葉も「うれしかったです」と言う

ちゃんことは、力士が食べる料理全般をさす言葉だが、一般的には鍋が有名。増竜さんが作るものも鍋がメーン。
「メニューは一応みんなに聞きますが、さして注文もありませんから、こちらで決めて作っています。“キムチちゃんこ”や“にんにく鍋”が人気ですが」

場所中は、塩分がいるため濃い目。代々受け継がれている“三保ヶ関味”を守り、十種類以上あるという味付けを毎日変えて出す。
客にふるまう機会も多く、記者もごちそうになったことがある。感想は「メチャうまっ!」

先輩のちゃんこ長は、現在ちゃんこ屋さんとか。
「(自分も廃業したら)店を持ちたい」が夢。腕前は既にプロ。夢はかなうところにある。

紙ひこうき H.18.7号