I LOVE NY


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アリゾナ州はメキシコとアメリカの国境ということもあり、多くの不法移民が在住している。母国が貧しく、出稼ぎのためアメリカに移り住み働いている人は多い。

苦労して密入国しても、不法移民者としてアメリカに住む事は普通の生活にも多くの支障をきたす。例えば銀行口座ひとつ作ることはできないし、仕事も日雇いベースか現金で支払われる仕事しかない。

先日、友人が引越しで家具を運ぶ為に車をレンタルした際、彼が駐車場を出ようとした瞬間に5~6人の男性が現れ、「車から家具を運ぶ作業を15ドルでやらせて欲しい」と言われた。仕事を必死で探している不法移民者なのだろう。

今年アリゾナ州で4月に実施された新移民法では、警官が不法移民の疑いがあると判断した者に対し、合法的な移民であるかどうかをチェックすることが義務化された。
警官に職務質問された人は、アメリカで在住権があることを証明する文書を携帯していなければ、その時点で違法移民とみなされて逮捕が認められる。

これは正に「人種差別」といっていいだろう。行動の怪しい者に対しての職務質問は行われるべきだと思うが、外見だけで行うのはどうだろうか。
私はアメリカに住んで10年が経つが、今まで外見やアジア人だというだけで警察に身分証の提示を要求された事は1度も無い。もしそんな理由で提示を求められたら、人種差別として訴訟を起こしてもおかしくないと思う。

先月、アリゾナ州判事はこの新移民法の警官の職務質問に関する条項についての施行を差し止めたが、同州では依然この移民法を続ける意向を示している。

不法移民が問題となっているのはアリゾナ州だけではない。どの州を見ても不法移民者はいる。

一体どうなるのだろうか?

2010.08 発行 紙ひこうき Vol.350