今時の光景


「入園式おめでとう」。でもこれは親のことで、子どもにとっては親子の別れですね。
この時節、園庭は両親との別れを嫌がる子どもの悲鳴に満ち満ちています。保育士は慣れたもので、「はい、はい」。でも、お母さんの中にも涙ぐまれる方もいらっしゃいますね。そんな時、保育士とは「お母さんから子どもを取り上げる、子どもからも親からも、恨まれそうな因果な職業」と思ってしまうのです。
この光景、しばらくは致し方ないのですが、「泣き叫ぶ」のはそれだけ親子の絆が深く、今まで生活がとても充実していたということと思います。泣き止むまでじっと抱きしめ、親子の情の深さを思うと保育士の胸も締め付けられるのです。

お父さんがお送りされる方も多いですね。必要に迫られた男女共同参画でしょうが、涙を流さんばかりに立ち去るお母さんに比べると意外にお父さんの方が時間はかかりますね。さすがに涙はありませんが、駐車場から子どもの姿を追っているのはお父さんですね。
意を決したように振り向かないで行ってしまうお母さんと、じっと見詰めているお父さん。子ども達の記憶に残らなくとも肌で感じた愛情はきっと忘れませんよ。

入園当初は「慣らし保育」。この間は午前中・給食までの保育です。これは慣れるのにとても大切で、通常保育・長時間・延長保育につなげるにはとても大切な期間です。
「さぁ、預けて働くぞ」というお母さんには水をさすようですが、少し辛抱して下さい。子どもも耐えてますから。

新しい生活に皆さんが早く慣れてくれますように。

〈哲地蔵〉

KID'S倶楽部 H.18.4号