幼年図鑑 : 「親子」は日本独特の言葉


「親子」という言葉は「英語にもイタリア語にもドイツ語にもない」、日本独特の言葉だそうだ。もちろん、親と子とか、家族という言葉はあるが、親と子といえばそれぞれ独立した存在の結合であり、ファミリーといえば祖父祖母兄弟まで入ってくる。「親子」という言葉は日本独特の表現というのだ。

これは初めて母親になり育児真っ最中の方に教えてもらった。彼女も今まで意識したことはなかったのだが、子どもが生まれて夜泣きしたり、吐いたり、熱を出したり、下痢をしたりさまざまな経験をするうちに、初めは自分を生み育ててくれた親に思いを寄せ、次に世話のかかる子に対して自分が親になっていく過程を感じたようだ。

そして、「子どもがお腹が痛い時はわかる、だった私のお腹も痛くなる」と親子一体説まで吐く。親と子が一緒になって、子になり、親になっていく成長の過程を楽しみ「親子という言葉が大好きです」という。

さて、みなさん。そんな子も成長しますと、親離れが始まりますね。一人で何でも始めます。
ですが、実は離れていないのです。親を観察しているのです。親の行為を自分の規範にしているのです。
親の働く様子、食事の様子、真似が始まります。保育園の保育士の真似もあります。まるで先生のように弟妹の世話をします。

よいことも悪いことも真似をしますが、悪い時は親の気持ちもわかるようです。
横断歩道で赤信号を無視して子どもの手を引いて渡る母さん。急ぐのは分かりますが、子どもを見つめて下さい。下を向いて歩いていますよ。子どもは分かっているのです。

親子はいつも一体です。

KID'S倶楽部 Vol.184