子育ての前提


誰でも親になれると思っているが、子育てが愛情だけでは済まない現実を多くの人は知っている。それは子育てのノウハウでもない。現実の生活では金銭がとても大きな比重を占める。そうかといって、「民主党の子育て支援」に期待するという話ではない。

保育園にしばらく顔を見せない母子がいる。心配して電話をしても「明日は登園します」というだけ。とうとうしびれを切らして保育士が訪問したが、玄関からは上げてもらえなかった。それでも翌日の登園を約束してきた。
子どもは一歳半。翌日やっと登園してくれたが、顔色が良くない。「頻繁に熱を出していた」と話す母親の顔色も良くない。

子どもの体重を計った時、保育士が声を出した。二か月前に比べ一、五キロも減少し、肋骨も浮きでているのだ。
母親と話をした。
父親が生活費をくれない。働きたくとも妊娠していて出られない。そして借金があるという。

原因は?「リストラ?倒産?」と尋ねたが、答えは「父親の道楽、遊び」という。
親になる資格は簡単のようで難しい。

ご主人との会話の役目は施設長。「嫁に食事を与えないとはどんな男か」と想像しながら「これは言わなければ、これは言わない」と箇条書きに思いをまとめる。

いよいよ対峙の時。すると、意外なほどやさしい男が現れる。最近はやりの草食系。草食系がいけないとは言わない。各書く私も草食系。

ただ言っておく、やさしさは大事だが流されてはいけない。男だろ、父親だろ。辛抱しろよ。

…分かっただろうか。

KID'S倶楽部 Vol.183:幼年図鑑