感動と感情を持つ子に


感動できる心を持つことはとても大切です。感動は人生を豊かにしてくれます。
しかし感動する心は自然に芽生えるのではなく、やはり培っていくものなのです。

幼児はキレイなものを「キレイだね」と一緒に言ってくれる人がいたり、「キレイだ」というメッセージを受け止めてくれる人がいることで感動する心が育ちます。
「キレイだね」と言った時に「キレイだね」と返してくれると、次からも感動するのですが、「何言ってるの」などのように否定されると、次が続きません。

幼児には「心の基地」という自分が安心できる場所(人)、何があってもそこに戻れば安心できる場所(人)が必要です。幼児は心の基地で否定ではなく肯定的に受け止めてもらうことにより、感動に結びつくのです。

虐待を受けている子は感動を外に表すことが苦手です。気持ちが動いたことをどのように表すかが分からず、また自分が思っても皆はそうじゃないんじゃないかとためらったりします。

人間は感動だけではなく、喜怒哀楽の「感情」も大切な要素です。自分が今そのことをどう感じているのか自分で分かることは、やがて「人の気持ちが分かる」ことにつながっていくからです。自分の気持ちをきちんと知ることで、人は人間関係をうまくつくれるようになるわけです。親は子どもの身体だけではなく、感情も育てる義務があります。

今は悲しいことに親が意識しないネグレクト(育児放棄)が横行しています。
授乳しながら携帯でなにかしているのはその典型例です。オムツ替えもパッパッとやっつけ仕事でする人も多くなりました。本来は「オシッコいっぱい出たね」「キレイにしようね」「気持ちよくなったね」等の声かけをしながらオムツは替えるものです。

赤ちゃんはちゃんと聞いてますし、こうして育てられた子は自分の思いが早く言語化されます。思いが言語化されないと、頭にもきちんと整理して入りませんし、相手に伝わるように思いが伝えられません。思いが伝えられないので勝手に怒り出す人がいますが、こういう人は自分の心が確立してないのです。

自分の思いを受け入れられず、共感を得ることもなく、しかも無言で育てられたのかもしれませんね。

KID'S倶楽部 Vol.180:幼年図鑑