I LOVE NY 


 先月ニューヨークでは新たに煙草が値上がりし、ついに1箱10㌦(約1100円弱)に突入。住民への禁煙強化は3年程前の大幅な値上げから。禁煙達成した人がぐんと増えたのはつい最近の事かと思えば、今回はついに煙草が2桁の値段をつけた。また更に禁煙者数は増えていくだろう。
 今は喫煙者が肩身を狭くして道端で煙草を吸う場面も多く見られ、メディアでは喫煙を続けた際の健康リスクをとてもグロテスクに語りかる喫煙防止コマーシャルが急増。セカンドスモーカーへの影響も大きく取りあげているせいか、煙草を吸う人の前を通るときは、あからさまに手で煙を払い咳をゴホゴホし、嫌な視線で喫煙者を見る人も多い。
 先日、日系放送で日本でも煙草が1箱1000円になる日も近いというニュースを見た際に、ある愛煙家が煙草を数年分購入し冷蔵庫に保存して今現在の値段で煙草を吸う!と言っていたのにとても驚いた。日本では喫煙による健康へのリスクより愛煙家の声を大きく取り上げるのだろうか。さすがに一箱300円台から1000円台という大幅値上げは愛煙家にとって痛いところだが、冷蔵保存は行き過ぎではないだろうか。
 物価値上げが騒がれる中、アメリカではとてもユニークなニュースもある。先月カルフォルニア州では同性愛者の結婚が認められアメリカ中の様々な同性愛カップルが集まり挙式を挙げた。同性愛結婚の認められていないニューヨークでも先日、同性愛者団体によるエイズ予防パレードが行われ、例年のゲイパレードのような華やかさを見せながらも、エイズ感染予防の大切なメッセージを送っていた。
 アメリカでは多くが自ら進んで年に1度HIV血液検査、唾液検査を受けている。結果が出るまでの数分間に、希望をすれば無料でHIV、エイズに関する知識も教えてくれる。
 同性愛者の結婚が認められるとHIV感染者が増加するという偏見を持つ人もいるが、そんな人はニューヨークではとても少ないように思う。同性愛者やHIV、エイズに関する偏見をなくそうと取り組む団体が多いからである。こうした団体のパレードやボランティア活動はニューヨークの至る所で行われているので多忙な時はあまり注意を払わないのだが、先日久々に同性愛者のパレードを見て自分の健康のリスク管理をする事は大事だなと再認識。これは喫煙に関しても同じ事が言えるだろう。

2008.7.15発行 紙ひこうき Vol.325