ケイコちゃんのマネーゲーム


ウォーレンバフェットの株式投資法。素晴しい企業を見つけ、その株を買い続け、持ち続ける。この投資法にケイコは何かを感じていた。
欧米の金融機関はサブプライム問題でとんでもない赤字を垂れ流している。原油価格の上昇はとどまるところを知らないように、1バレル120ドル台に突入している。日本ではガソリンの暫定税率が三月三十一日で切れ、リッター当り20円~25円安くなった。しかし原油価格は四月一か月で10ドル以上値上がりしている。五月から暫定税率を復活させると一体いくらになるのか空恐ろしい。
自民党も民主党も党利党略ばかりで動いていて国民は置き去り。なぜもっと前向きの議論をしないの? 後期高齢者医療制度でも民主党を始めとする野党は非難一色だったが、日テレの辛坊キャスターは、負担の軽くなる人達がたくさんある事をきちっと解説していた。その時「私にこんな解説させないで、政治家がきちんと説明をするべきだ」と怒っていた。本当にその通り。政治家は努力が足りない。
株価はニューヨークも日本・上海もようやく落ち着いてきたが、まだまだ先行きは怪しい。そんなところへまた野村證券社員のインサイダー事件が発覚。逮捕されたのは中国人三人。そのうちの一人がM&AやTOBなどを主な仕事とする「企業情報部」という部署の人間。そこでは社員の株取引自体が禁止だったそうだ。それなのに事件は起きた。人間の欲の前にはコンプライアンスなどはふっ飛んでしまうのか?
新聞報道によると、業容拡大のため外国籍の社員が増加。研修・教育が難しくなっているのも一因らしい。が、こういうことが起きると一般投資家はこれは「氷山の一角」、他の社員もやっているのじゃないのかと疑ってしまう。
ケイコは、今まで六年近く株式投資をしてきた。100万円の資金から150万円以上の利益を出した。投資をするために、経済問題・社会問題・国際問題など色々な勉強をする事によって世の中の見方もずいぶん変わった。
ウォーレンバフェットの考え方に共感したケイコは、これからの投資方法を考え直した。子どもたちも中学生になっている。この子達のために、素晴しい企業の株を残してあげよう。買った株を売らずに、少しづつ買い増していけば、ちょっとした財産が残るかもしれない。この方法に、株式投資の当面の結論を出したケイコだった。

2008.5.9発行 エコノミスト●なごや Vol35