私は異邦人{I LOVE NY ●54}


99セントショップ

今、日本で毎日のように取り上げられている食品の偽装表示、不正表示。こちらで一日1時間放送される日本のニュースを見ながらアメリカの食品は大丈夫かとすこし心配している。
もし一社が偽装&不正を取り上げられたとしたら、おそらくアメリカも多くの食品が危ないのではないだろうか?数ヶ月前には世界中で中国産のおもちゃのリコール問題が起きた。大手メーカー、デパートなどでは中国産のおもちゃが店内から撤収されているが、私が生活の中でよく使用する“99セントショップ”(いわゆる日本でいう100円ショップ)にはまだまだ多くの中国産子ども用おもちゃが販売されている。また99セントショップで売られる多くの商品がMADE IN CHINAである。
口に入れる心配のない商品を購入する時も、最近このMADE IN CHINAというロゴにすごく敏感である。写真に写るのが99セントショップ。ニューヨークでは至るところで目にする程に普及していて、食品から日用雑貨まで日本の100円ショップのように便利で生活に欠かすことができない。
それから私が生活の多くで使用する中国街の街頭販売。食品にしても賞味期限が書いてあるものはほとんどなく、また、それがどのような経由でアメリカ、NYへ運ばれてきているかも定かではない。一体私はこのNYでどこの国から運ばれてきた食品を日々口にしているのか、そして食品以外でもどこの国で製造された物を使用しているのかとても不思議に思っている。
先日、アメリカに数日出張に来ている日本人の男性に知人を通して知り合い、ご飯を食べにいったときのこと。私は完全に日本の文化を忘れていたことに気がついた一面に遭遇した。その日本人男性は、私に会うや否や突然ビジネスカード(名刺)を背広から取り出して「はじめまして」とおじぎをしながら名前を名乗った。仕事や会議ではないディナーテーブルの上で起こったことだったので、プライベートのデイナーでも名刺は交換するべきと少し躊躇した部分もあったが、最近ではこうした名刺交換をする機会もすごく少なかった私、さすがは日本のビジネスマン、常に背広には名刺を持参しているんだなと日本の文化を思い出した。

2007.12.11発行 紙ひこうき Vol.318