ヒューマンスクランブル 第291回


若者が注目する紙面作りを。

中日新聞研修生 添田隆典さん

中日新聞研修生 添田隆典さん

ちょっぴり前なら高田万由子。今なら菊川怜。美しい東大出身のタレントさんがTVで活躍し始め、東大生のイメージが変わってきた。何となく”身近に”感じられるというのか…。ところが”ナマ東大生”と出会う機会は実に少ないー
今年の三月まで”ナマ東大生”だったのが今回紹介する添田隆典さん。現在当店で研修を行っている中日新聞の新入社員だ。
新卒で二十五歳。浪人の経験もあるが、実は、東大以外の大学に入り、受け直した。東大にこだわったからではない。「東大を目指すと言えば、親も納得するでしょう」。そう、東大という名前には、添田さんの親だけでなく、日本人みんな”弱い”。
文学部に入り、哲学科で学んだ。そう、「デカンショ」の世界だ。デカンショとは、デカルト、カント、ショーヘンハウエルのことで、昔の学生は哲学書を読み漁ったものだと歌うのが「デカンショ節」。
「どちらかと言えば、そんな雰囲気かも。とにかく本は好きですね」と添田さん。だから就活では「文字を扱う仕事」をターゲットにした。中日でも、希望は編集。「文芸欄を担当するのも面白そうですし、レイアウトなんかにも興味がありますから、整理記者もやってみたい」と言う。
「販売店研修」では、配達業務も体験する。起床は毎日朝三時。数ヵ月前までは「起きていた」時間だ。「研修を始めて約三週間。早起きには慣れましたが、やっぱり間違えずに配るというのは大変です」と、ちょっぴり音を上げる。
販売店の業務にもいろいろあるけれど、配達は最重要業務だ。頭や体がシャッキリするまで待っている時間はない。が、こんな経験が、新聞作りの”現場”に戻った時、必ず役立つ。
若者たちの活字離れが叫ばれて久しいが、作り手はやはり若手に変わりつつある。「若者も読んでくれる紙面作りを」という夢を実現させてほしい。

2007.5.14発行 紙ひこうき Vol.311