心と体は変えられる! 天白保護区保護司会 伊藤勇造副会長


ヒューマンスクランブル 天白保護区保護司会 伊藤勇造副会長

保護司という仕事がある。「罪を犯した者の改善更生を助け、犯罪予防のため、世論の啓発に努める」ことを使命とする公務員のことだ。が、給与はなし。ボランティアだ。

相対するのは“前科のある人”。一般犯罪者とよばれる人たちを相手に世話をやく。無償で。

平針1丁目の伊藤勇造さん(63)は保護司歴21年。天白保護区保護司会の副会長を務めている。

が、最初はやはり抵抗感もあったという。こんな伊藤さんの背中を押したのが奥さん。「人助けだから」と。

性犯罪は言うに及ばず、再犯率は高い。もちろん、根っからの“ワル”もいるけれど、“前科者”を許さない社会風土もある。少年たちの犯罪や出来心で起こした犯罪にも、社会は厳しい。

だから、更生者を温かく迎えてやるために、保護司さんたちの力が必要になる。

「やってよかったと思いますよ。自分の人間形成になりますし、自分を見る“目”ができました」と伊藤さんは言う。

「更生した人が声をかけてくれるんですよ。こんな時、ああ、やってて良かったって思います」。

伊藤さんの本業は接骨院。

骨を折ったり、筋を違えたりは、誰だって経験する。何もしなけりゃ、体は曲がったままだったりして元に戻らないが、治療すれば治る。

接骨と犯罪を一緒に語ることはできないが「心と体は変えられる」という伊藤さんの言葉を信じたい。

2013.01 発行 紙ひこうき Vol.379