即興詩を手書きで。 / ことばクリエーター&フォトグラファー 浅井 浩介さん


うらやましい話だけれど、感性が豊かな人はいる。原の浅井 浩介さん(33)も、感性が豊かな人だ。

実家は、中華料理の「蘭蘭亭」で、浅井さんも調理師免許を持ち、同店の2代目としての地歩固めも着々と行っている。が、現在の浩介さんは“即興詩人”として有名だ。

ことばクリエーター&フォトグラファーとして「ことばの工房」を主宰。ことばと写真、そして筆文字で慶事の手伝いやアルバム制作などをしている。

きっかけは20歳前。「サイクリングツーリングで友人と言葉遊びをしたんです。たわいもない遊びでしたが面白くって」。

自転車は小さい頃から好きで、20代の頃には1人でオーストラリアを放浪した。

「マウンテンバイクにテントや食料など約50キロの荷物を積み、10ヶ月ほど走り回りました。その時、ストリートミュージシャンに出会ったりして刺激を受けました」。

これが原点。本格的に詩を書き始めたのも、この旅のあと。

今の時代なら、ちょっとした文字でもコンピュータなどで打ち込む人が多いが、浩介さん筆ペンを使って直筆する。

「究極の癖字」と笑うけれど、実に味わい深い。

柔らかい筆致は、人柄をあぶり出す。それは、とっても優しくて、温かだ。

2012.09 発行 紙ひこうき Vol.375