日頃の訓練を欠かさないで!天白消防署消防司令補 平田勇さん


ヒューマンスクランブル

地震から約1ヶ月経った今も死者数を上回る行方不明者がいる大災害、東日本大震災。被災地は広範囲にわたり、私たちは今だにその全貌が分からない。

天白消防署消防指令補、平田勇さん(33)は、名古屋市第4次隊として3月14日夜、名古屋を立ち、翌早朝、宮城県亘理郡亘理町に到着、ミーティングの後、早速救助作業に携わった。

そう、現場を“五感”で感じた人だ。

TVの報道で、伝わらない物。それは臭いだ。

それを聞くと、「海水と汚泥の臭いしかしませんでした」と平田さん。この言葉に、むしろこの災害のすごさを思う。

津波はそこにいた人たちの“生活臭”すらも飲み込んでしまったのか、と。

現地入りした時は、雨やみぞれが降り気温も低かったとか。そんな中、ほとんど手作業でがれきなどを取り除き、行方不明者や生存者の捜索にあたったという。

「被災地を訪れ、活動したのは初めてです。私見ですが、私たちができることのひとつとして、被災地の方を“思ってあげる”こと。これが大切だと思います」と平田さん。

そして、被災者の人たちから礼を言われたことにいたく心を動かされたと話す。

「人の役に立ちたい」と選んだ職。

そして、今回の経験を踏まえ「やはり、日頃の訓練を欠かさないこと。訓練通りに行えば、被害は最小限に抑えられるものです」と力説する。

天災は忘れたころにではなく、必ずやって来るー。

2011.04 発行 紙ひこうき Vol.358