I LOVE NY


I LOVE NY

ニューヨークでよく映画撮影を見かけることがある。そのほとんどが規模の小さなものだが、先日の週末にマンハッタンのミッドタウンのオフィス街で大規模な映画撮影現場に遭遇した。

警察車両に消防車、テレビ局車両に警官と人混みで溢れていた。そこから見た風景は真っ赤なランプで覆われている密集地帯。初めは何か大きな事件・事故があったのだろうかと思っていると、「撮影の邪魔にならないようにお願いしす」と撮影関係車がアナウンスをしており、これは映画撮影だと把握したわけだが、それにしても規模が大きすぎる。週末のオフィス街とは言え、5ブロックも道路を封鎖してしまう規模。

しかし肝心なカメラ等は一体何所かと探してみると、なんとカメラは高層ビルの屋上に。ビルの下には安全マットレスも置かれており、見上げるとスタントの人が飛び降りる直前だった。

スタントが飛び降りた後には、ビルの屋上からものすごい量の札が舞い散ってきた。ここで地上にいたエキストラが懸命に札を追いかけ手に取ろうというシーン。ロケ現場脇の歩道にも札は舞い降り、一般人までその札を取り合う始末。

丁度私の前にも札が舞い降りてきたので手にとってみると、ちゃんと映画会社のロゴが入った偽札…。隣で懸命に札を拾おうとしていた子供にあげるとニコリ。

ここはハリウッドではなくニューヨークだ。常にテロへの緊張感が走るニューヨークで、おびただしい数の警察・消防車両。そしてテレビ局車が止まっていれば「何かが起きた…」と思ってしまう。この撮影規模ので大きさやアクションには「本当に今ニューヨークか」と疑う。

周りでは「こんなに大規模にやる必要があるのか」とぶつぶつと言っている人もいた。さすがニューヨーカーである。

2010.12 発行 紙ひこうき Vol.354