ヒューマンスクランブル第314回


針名神社の祢宜 連(むらじ)史之さんが挙式

針名神社の祢宜 連(むらじ)史之さんが挙式

神前、仏前、人前に教会…。結婚式の様式は多彩だ。
その中で、注目を浴びているのが神前婚。紀香と陣内の“格差婚”は、みやびやかな神前スタイルで大きな話題になった。

そんな結婚式が針名神社でも行われ、たくさんの人が2人の門出を祝った。
もちろん、ブームに乗った訳ではない。同神社の祢宜(ねぎ)、連史之さん(35)が結婚したのだ。

祢宜とは、会社などで言えば“役職名”に当たる。
広辞苑には「神主のもと、祝(はふり)の上に位する神職」とある。お寺さんで言えば、副住職のようなものなのだろう。
同神社の宮司さんは、史之さんのお父さんだ。この宮司さんをサポートする役といえば、もっと分かりやすいかも知れない。

何はともあれ、針名神社の宮司さんの“後継ぎ”が正式に誕生したのだから、これはめでたい。近ごろ宮司さんの数が少なく、各神社をかけ持つ宮司さんが多いため、祭礼日が大きく変わってしまうという話も聞くからだ。

「継ぐということに抵抗はありませんでした。境内の掃除やお札の授与といった程度のことですが、手伝ってもきましたし。本格的に決めたのは大学進学のときです」と史之さん。

そう、宮司さんの資格も今は大学で取る。さらに史之さんは卒業後、東京の東郷神社、名古屋の護国神社で“修行”もした。
仏教の宗派とは違うかもしれないが、各神社で“ルール”の違いもあるという。時代が求めるものも違ってくるのだろう。

「うちの神社にだけいたのでは、井の中のカワズになってしまうでしょう。2つの神社で学んだことを生かしたい」と史之さんは言う。

結婚式の感想を伺うと、「たくさんの人に来ていただきました。こんなに関心があるんだって思ったら、うれしくなって」と笑顔を見せ、「(嫁と)一緒にこの仕事をやっていきたい」と力強く話してくれた。

2009.04発行 紙ひこうき Vol.334