「人との関わり合いの面倒さよりも楽しさに目を向けて」


相生学区 民生委員 篠田紘子さん

 学区の民生委員を永年務めている篠田さんは、自宅に担当地区の高齢者を招いて「七日会」を開催。この部屋では隔月にコンサートも開かれている。
 「ESSにはまったく助かっています」と篠田さん。「この地区は80%が集合住宅。ドア一枚の向こう側を知る手立ては新聞だけ。65歳以上の方は訪問対象なのですが、年齢に関係なく倒れる時は倒れますでしょ? ご近所付き合いもない『姿の見えない人』の安否確認には新聞が何よりなのです」。
 これまでも溜まった新聞を目安に命拾いをした人や、不幸にも亡くなっていたが日を置かずに発見することができた人など篠田さんは多くの体験を重ねてきた。「ですから町内の人にはESSに入れ入れって言ってる。でも新聞店の方は入ってない人も見てて下さって、溜まっていると連絡して下さるんです」。 
 「こんな風に、皆で見守る体制ができていれば、災害時にも『あそこ大丈夫かな』という思いになる。その雰囲気作りが民生委員の仕事。人間は互いに支え合わなければ生きていかれないのだから、『お互い様』ですよね。
 核家族化が当たり前の世の中、好んで一人暮らしを選択している人が多い。「だから放っといてという方は、その意思を大切にしてそっと見守ります。でも細い糸でもつないでいたい。高齢者も若い人でも、人との関わり合いの面倒さよりも楽しさに目を向けていただきたいな、と思っています。」

2008.3.25発行 み・まも〜る4月号 Vol.11