再会


 心臓に持病がある八十代のAさんは一人暮らし。ESSのことを知るや、「身内もいないので」と、すぐさま登録をした。
 ある日Aさん宅を訪れた集金スタッフが、新聞受けに差し込まれたままの新聞を発見した。嫌な予感を感じつつ、販売店に連絡。店は学区長と担当民生さんに連絡をいれ、ドアは開いていたので、三者でそっとAさんの家を覗いてみたところ、倒れているAさんを発見した。
 呼びかけて意識を確かめたら、朦朧とはしていたが応えることができる。すぐに救急車に救急車が呼ばれ、Aさんは病院に搬送された。台所のテーブルには食事の用意が整えてあった。
 「連絡先はありますか」という救急隊の問いに「確か音信不通の息子さんがあったと聞いていますが」と民生さん。Aさんは民生さんには事情を話していたらしい。民生さんは必死になって息子さんへの連絡を試み、何人かを経てようやく携帯番号を知り、留守電に病院名などを吹き込むことができた。
 翌朝、販売店に息子さんからお礼の電話があった。「お陰で親父に会うことができました」。親子にどんなドラマがあったのかは知る由もないが、あらためて登録カードを見ると、息子さんの名前を書きかけて大きくバッテンがしてある。×で消したAさんの気持ちを考えると、少し切ない。

2007.12.25発行 み・まも〜る1月号 Vol.8