神田 峰彦さん(46歳)


神田さん

 

 時代劇や歌舞伎で使われるかつら、羽二重を頭に巻いて、役者さんがスポッとかぶる風景が思い浮かぶでしょうか。でも、そのかつら、出来あがるまでのことは知られていないかもしれません。

 

 神田峰彦さんは、かつら製作がお仕事。アルミで作った型に髪を植えて本体を作り、役に合った髪型に結い上げ飾りを付ける。頭のサイズに合わせて作るオーダーメイドの世界。

 

「私で4代目です。祖父の頃にはお芝居の仕事が多く劇団と旅をして回っていたので、ほとんど家にいなかったそうです。今は日本舞踊のかつらの仕事が多いです」
神田さんは高校卒業後、調理師の専門学校に進んでいる。

 

「15~6歳で自分の将来を決めるって難しいですよね。家業がいやとか反発してとかじゃなく、料理人に憧れて入学しました。その時の先生が、進む道があるならそっちへ行ったら、と言ってくれて。それでこの道へ入りました」

 

いよいよかつら製作の道へと進んだ神田さん、まずは大阪で4年間修業。「長い髪とか触ったこともなかったので大変でした。髪を思ったように梳かすことができるまでに2~3年、形をわかって、その形に結うことができるまでに5年くらいかかりました」

長い年月をかけて習得した技術、すごいです。これから先も大切に守ってくださいね。

 

「経験を積むほどに技術があがります。祖父は82歳頃まで仕事をしていました。父は78歳で現役です。今は、日本舞踊の発表会で使うかつらの仕事が多く、お客様の晴れの日のお手伝いができること、満足していただける喜びがあります」

 

最近は地歌舞伎、地芝居のかつらの修繕・製作を手がけるなど、仕事を広げていらっしゃる神田さん。今後のご活躍、応援します。