見守っちゃった


《命を損なう認知症も…》
 夕刊配達の時、団地のエレベーターに老女がうずくまっていた。「どうかされたんですか」と声を掛けると、「家が分からん…」。朝刊のお客様でよく知っていたから、配達員は老女を家まで送り、しばらくは一緒にいたが、配達もあるので店へ連絡を入れて老女の家を辞した。
 連絡を受けた販売店は老女の担当民生さんに電話。「あの人はそうやってしょっちゅう近所の人に迷惑をかけてるんだわ」とのこと。娘さんにも連絡して頂きたい旨を伝えて電話を切ったが、ESSに登録して下さっていれば、店から直接娘さんに報告できるのに、と感じた。しかしESSに登録していなくても、例の老女は要注意だ。
 翌日は元気な姿を見たと人づてに確認。翌々日、朝刊を配った配達員は昼ごろに朝刊が取り込んであるかどうかが気になって、老女宅へ向かった。すると人が集まって大騒ぎになっていた。販売店から連絡を受けて気になった民生さんが安否確認に訪れたところ、老女は死んでいたというのだ。
 配達員が送り届けた日は見事に整っていた室内が、まるで嵐が通り過ぎたように荒れ果てていた。壁にも床にも汚物がこすり付けてあった。「大暴れして死んだらしい」と人々。認知症が命を損なうこともあることを配達員は始めて知った。

2008.5.24発行 み・まも〜る6月号 Vol.13